「都電の街を行く」

教習所で、信号機の灯火の意味について、最初の段階で習うものです。その中で「赤の灯火に黄の矢印」というものがあります。それは、「路面電車が黄色矢印の方向のみ進行できる(自動車などの車両は停止)」というものです。
しかし、実物はなかなか栃木にはないもの。周りの茨城・群馬・福島でも無いですね。一番近くにある路面電車のある道は…と調べると、東京都内にありました。都電荒川線の北区堀船 明治通り〜荒川区町屋までの約2〜3キロの区間です。黄色矢印を撮ってきましたので、ぜひご覧下さい。

明治通りから都電沿いを東へ走っていきます。最初入った感じは、下町らしい線路沿いの風景が広がっていますが…。

何と突然、道路上に電車の線路が横切っていました。通常の電車が横切るところだと踏切りの遮断機がありますが、ここにあったのは注意を促す電光板だけでした。それでも、電車が横切るときは車は停止ていましたが。

線路に、車両用の矢印灯器を使った電車用の信号がありました。
こちらは、左が黄←,右上が黄↑,下が赤×です。上の二つの矢印は車庫に行くか直進かを指示するものでしょう。
手前側には、赤の「曲」,赤の「止」の信号が。西行きの電車が車庫に入るとき、東向きの車両を止めるものかもしれません。詳しい動作についておわかりの方、ぜひ教えて下さい。
↑この信号に特殊な型式があるのかと思い、プレートを見たところ、通常の250mm矢印灯器と同じ「A21」でした。
申し遅れましたが、この灯器は日信製丸型2代目の250mm灯器ベースです。都内に日信製丸型2代目灯器はめったにないのですが…。

→このそばに、都電の荒川車庫前駅がありました。都電の駅といっても、バス停のような感じで、無人でした。

荒川遊園付近

ここで、初めて道路用の信号灯器を使った都電用の信号を発見。
左側の横灯が車両用(小糸製1H23DN型)、右側の縦灯が都電用です。通常電車が横切るようなところは踏切の警告灯や遮断機があるのですが、ここの場合はそのようなものはないです。
乗り場の先に怪しい歩行者灯器?を発見。これは都電の出発信号のようで、電車が発車する時は上の「T」がつき、それ以外は下の「×」がついています。プレートを見ると、灯器は昭和58年10月製の京三製で、「金属製歩行者用信号灯器」ではなく「時間反応灯」でした。都電用の特注仕様ですかね。
信号が変わりと都電が通過する時の映像

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一方、この縦型灯器。赤の上に直進黄色矢印がつけられています。この黄矢印は都電が交差点を横切る時しかつかず、電車が通りすぎるとすぐに黄色になって(青にはなりません)消えてしまいます。
この小糸製セパレート灯器、プレートを見ると、「1V34AN」とあります。即ち1面の縦形で30cmランプが4つという仕様です。やはり特注仕様ですね。この灯器、低いところにありレンズ模様もプレートも肉眼で見やすいです。このプレートとレンズ表面はマクロモードでかなり近づいて撮ったものです。
↑プレート
↑レンズ

小台駅から宮ノ前駅の少し先まで1`弱の区間は、都電の線路(軌道)と道路が一緒になります。上の写真は小台駅を撮ったものですが、車が入らないように線路の真中に進入禁止のポールがありました。といっても線路は車が入れる位の間は開いていますが、どう考えても線路に入る車は絶対ないでしょう。

↑軌道内通行可の標識。これがあれば電車のレールの上を車で走れます。 ↑宮ノ前駅で乗り降りする乗客。都電の後で車が待っているのを見ると、バス停の風景に通ずるものがあると思います。、 ↑これが道路上にある線路、いや軌道。 ↑都電の真後ろについたので、運転席から撮ってみました。

宮の前駅を少し先にいくと、都電は道路の真ん中の縁石で仕切られた所を走っています。電車専用の信号はこのあたりに無く、車両用の信号に合わせて動いていました。

熊野前駅・熊野前交差点

この交差点は立体交差の5差路になっており、結構交通量もあります。そこで、矢印制御のセパレート交差点になっています。都電も交差点を横切るので、青にすると危険なので、セパレート現示になっているのでしょう。

通常のセパレートサイクル用の矢印灯器に都電用の黄矢印がつけられています。都電用であることを分かりやすくするためか、黄矢印を少しずらして取り付けられていました。 ↑黄矢印拡大。
矢印のベースはセパレートボディ灯器ですが、足立区の4灯灯器(津々浦々・灯器をご覧下さい)と違い、厚めの台形カバーがついていました。
↑矢印灯器のプレート
A34A(矢印30cmランプが4灯)の型式です。小糸工業の平成7年11月製。
※この灯器はぼたん氏主宰「交通信号器がすべてわかるページでも取り上げられています。

熊野前駅から電車と道路は再び完全に区切られ、一方通行の側道を走るのですが、小道が交差している所だと普通の踏切でした。尾久にある路面電車用の信号は、ある程度交通量のある通りにありました。

町屋駅。ここまで都電を挟んで道路が走っています。ここからは側道も途切れ、下町の住宅街を縫うように都電は三ノ輪へと走っていきます。
町屋の都電用の灯器は筒型庇で、矢印だけ普通の庇でした。さらに、そばに駅がある関係か、荒川遊園のものに比べて黄矢印の時間が長めでした。
ちなみに町屋側から反対側の道路(側道と言わせていただきます)に入るには、左折でしか入れないため、Uターンして入る羽目になりました。
※こちらの都電用の灯器のアップが、ぼたん氏主宰「交通信号器がすべてわかるページ」・みしざわ氏主宰「Mishizawaのホームページ:信号機博物館」で取り上げられています。

まとめ。

都電荒川線の電車は普通の路線バスサイズの車両が1両で、数分置きに走っています。今回乗ったわけではないですが、ぶらっと乗れそうな雰囲気でした。料金も比較的安そうです。
これは後で気がついたのですが、さらに赤羽の方に、車道と一緒の都電の区間があることがわかりました。第二弾は是非そちらを取り上げたいと思います。珍しい灯器があるか、期待しています。