ご苦労様、そして、ありがとう。

撮影日 2005.7.17
2006.3.10

交通信号掲示板

初版 2006.4.2
改訂 2006.4.3

みなさん、この灯器、見覚えがないでしょうか。


(クリックで詳細画像)

古灯器ファンであれば、いや古灯器ファンでなくとも、信ちゃんであれば、みんな知っている、
日本を代表すると言っても過言ではない、信号灯器です。
また、日本を代表するオリジナルデザイン信号の先駆けと言っていいでしょう。
しかし、この世に生を受けた物は、たとえ信号機であっても、いつかはその寿命を全うする時が来ます。
でも、寂しいとか悲しいとか、そういった暗い言葉で送るのはどうかやめましょうよ。
ありがとう、と言う感謝の気持ちで送ってやろうではありませんか。

今回の特集は、この「すずらん信号機」の最期の仕事をお送りします。

  (画像をクリックすると、詳細画像になります)


1.こちらを向いているすずらんは、この後交換されました。
このすずらん灯器の向かい側の灯器が今回交換されます。
後ろを向いている信号電材の薄型LEDは、今回の特集でバトンタッチされた灯器です。
(すずらん撤去後は、すずらんのついていた柱に信号灯器は設置されませんでしたので、
この後ろ向きのLEDが後継になります。6番をごらんください)


2.トラックに控えしは大量の信号電材薄型LED灯器。


3.ついにユニックから延びるワイヤーがすずらんアームにかかりました。


4.主灯器と、従道路側灯器は日本信号の鉄板灯器でしたが、
すでに前日までに取り替えられていました。


5.どのように取り外そうか、思案中の職人さん。


6.交差点手前の分離帯信号柱に取り付けられた薄型LEDが後継灯器となります。


7.職人さん、さらに考え中。取り付けられたアームのねじは36年を経過し、
すでに、スパナ等の工具ではどうにもならない様子。


8.ユニックの腕が上方に延び、灯器をつる形になりました。と、同時に、甲高いモーターの回転音が…
どうやら、グラインダーで強制切断する様子。


9.悲鳴にも聞こえる、グラインダーによる切断音が現場に響く中、左の信号柱に設置された端子箱から、
接続されたケーブルが切断され、ついに、消灯する。


10.うーむ… なかなか外れてくれない。苦慮する職人さん。


11.対面側のすずらんも、ケーブルの結束が解かれ、この日のうちに交換される雰囲気。


12.主道路側(国道2号)が赤になったのを見計らって、切断されたケーブルを巻き取る職人さん。
停車中のバイクの運転手さんも気になるご様子。


13.警備員さんもご苦労様です。


14.そして、その時は来ました。「ご苦労様、そして、ありがとう」
おばあちゃんも気になってご覧になっています。


15.「ようやく外れたよ」と安堵の職人さん。


16.ついに地に着きました。でかい!!


17.最期に車の中から「ありがとう。」

小糸工業 -
交通信号灯器
KDH-3 '70 広島市南区
出汐3丁目交差点
広島県下で大量にLED化が進む中、36年の歴史に幕を下ろしたわけですが、
こうして考えると、環境にもよるのでしょうが、案外対応年数が長い物と感じました。
今回は、東京在住の古信号ファン、ゴエモンさんと、みつごんさんと、三人で広島オフと言うことで
一緒に回った訳なんですが、その、36年間と言う歴史の中で、最期の姿を目撃するということは、天文学的確率だと思います。
偶然も偶然も、大偶然ではありますが、僕はこの信号が僕たちを呼んだに違いない、と信じております。
信ちゃん冥利に尽きる一日でした。

※ドキュメンタリ文章中でも書きましたが、残念等の発言はやめましょうよ。
※そもそも、交通信号機は交通安全施設であり、老朽化で交換されるのはごく当たり前の話です。
※これを放って置いて落下事故を起こせば、それこそ、「交通安全施設」では無くなってしまいます。
※ご苦労様、ありがとうの気持ちで行きましょう。