2005年7月特集:

NHKBS2「熱中時間〜忙中“趣味”あり」のハナシ

事は2004年4月4日、仕事から帰った後届いた一通のメールから始まりました。

「突然のメールで失礼致します…。当番組は趣味に熱中している方々をご紹介する番組で、毎回テーマに沿って一般の方を3名ご紹介させていただいております。ホームページを拝見させていただき、是非一度お話をお伺いしたく思い、御連絡させていただきました。」

翌々日、早速製作会社担当者のMさんから電話が。20分ほど信号について色々説明した(どうして信号機にはまるようになったとか、どのくらい撮ったとか色々)後、その週の日曜日、スタジオに来ていただけないかとのことでした。残念ながら、その週末は那須で行なわれるイベントに出席する予定があり、スタジオでの出演は辞退しました。

その後、Mさんとのメールのやり取りをした後、NHKのKディレクターさんを紹介され、4月16日(土)に宇都宮のファミレスで打ち合わせすることに。

午後にKさんと宇都宮駅で待ち合わせ。大通りの信号を少し見せてから、ファミレスで打ち合わせ。
Mさんのプレゼンを基に、電話のやり取り以外ではお伝えできなかったことを2時間くらいお話しました。その後、自宅で幾つか信号の画像をパソコンでお見せしました。(Kさんは最初私の自宅に夥しい信号の写真が飾られていると思っていたようです)。信ちゃん用語−特に「怒る」「包丁」に興味を示していました。自宅を後にしてから、夕方まで宮環経由で総合運動公園付近を案内。運動公園の懸垂信号に驚いてました。

いよいよ4月23日(土)、ロケ当日。(青文字はオンエアされたシーンです。)

前日夜10時に帰宅してからせっせと入り口付近の掃除をしただけにやや寝不足気味。普通の人だとテレビに出ると張り切ってファッションコーディネートなどに余念がないはずだが、やや金欠気味だったこともあり、結局ピンクのシャツとチノパンで済ませ、頭はややホリエモンライクに固めた程度。いつもより少し気合が入った程度です。

9:30にKさんを宇都宮駅に迎えに。まず自宅へ。
我が家を訪れて出てきて、じゃあ案内しましょうとクルマで案内するシーン。「とにかくカメラ目線はしないように」ということだけど、どうしてもカメラ目線になってしまう。おまけにドアを開けて出たと思いきや、背中にドアが当たったりとなかなかスマートにできず。10TAKEほどやって、クルマに乗り込むシーン、発車のシーンを撮って、R123へ。

信号が怒るという?

R123に日信250丸型で、非常に怒った信号があるのでそこを紹介。→Here
「この信号、めっちゃ怒っているなあ」と私の一人言にナレーションが突っ込みを入れる設定。とりあえず撮っていただいたが、Kさんには今ひとつ解らない様子。そもそも同型の灯器がとちぎからどんどん撤去されているので、比較できる信号を紹介できないのが残念。

雨どいたくさんの交差点

R4バイパスを少し南下し、平成通りの下栗・ミツトヨ前の五差路へ。→Here ここは雨どいフードが多く設置されているのですが、交差点の構造を説明。ミツトヨ側から2基の日信セパ(雨どいと普通フード)を撮ってもらいました。この角度からだと比較がしやすいとのこと。

12時になりそうなので、

ここまでで早くも2時間。途中ローソンで食事を買ってから県総合グランドへ。
Kさんは後席から車内を撮影。横川中央小付近を経て(→Here)宮環へ。総合グランド付近で「あっあれかな」と呟くシーンも。総合グランド駐車場で→Hereクルマを降りるシーンを撮り、総合グランド入り口の小糸Dを撮るつもりだったが、私がバッテリーを入れ忘れる、ピンマイクのキャップ(綿みたいなヤツ)を紛失するという凡ミス。マイクの綿、それがないと風の音を拾ってしまうので、マイクをシャツの裏側に移して応急対応。
小糸Dの後ろにモニュメントがあり、信号を撮っているという風景が感じられないので、他の場所に行きませんかとの提案が。でもその前に、総合運動公園の角型懸垂を1発撮影。

そこで、普段よく通る雀宮駅からちょっと離れた上御田町の田園地帯(→Here)

小糸のSの赤だけ300を撮ることに。断っておきますが駐車禁止で無い場所です(たぶん)。
カメラを持っておもむろに信号に近づきバシバシ撮るシーン。なかなか台詞が出なくてあせりました。ここで5TAKEくらい。
各アングルごとに5分くらい同じ体勢をとっていたと思います。 実際に南向きの片面を撮影。けっこうKさんじっくり撮影されています。信号7点セットを10組分撮って気がついたらコンパクトフラッシュが満杯になっていました。

上御田で撮影した灯器を図鑑詳細風に紹介。


・型式:1H233S
・この灯器の製造年月:平成6年12月
・レンズ:青・黄…250mm/赤…300mm ブツブツレンズ
・設置度:栃木県…★★★★★

ごく一般的に栃木県にあふれている灯器です。
時期によって型式の「23」が上下並びのものと斜め並びのものが2種類あるそうです。

ちなみに撮影ということもあり、コンプライアンスの観点からやや左寄りのアングルになっていることをご容赦ください。

※正面の画像をクリックしてください。色が変わります。

ここから一気に今市方面へ。

K氏が京三クチバシにも関心を示されていたようで、私の記憶では今市にある2基しかなかったので、宮環→大谷街道→R293を経て今市へ。R293の大谷付近(→Here)で、信号ファンを「信ちゃん」ということなどの説明。京三の丸型赤だけ300を撮ろうとしたが、あえなく上向きだったため画像的にはボツ。

 





私の気が付かないところに…。

その場所から2キロくらい北へ。また怒った信号を発見…と思いきや、こんなところにクチバシが。「これがクチバシです」と説明し、撮影していただく。私も念のためにプレートを撮影しているところを撮影されました。
ここにもあった京三の丸型赤だけ300を撮ろうとしたが、あえなく上向きだったため画像的にはボツ。


女の子と信号機?

いよいよ今市に向けてR293・R119(日光街道)を経て今市へ。突然カメラを向けられて、
「レア物の信号がある交差点を、かわいい女の子が歩いていたら、どっちを見続けますか?」
打ち合わせでも聞かれた質問だけど、まさか聞かれるとは…。
「レア度の高い信号だと、女の子に気をとられないかもしれません」
と言う事を答えておきました。

R119六本木交差点で怒っていない網目レンズの比較用ものを撮っていただき、いざ今市へ。

何してるんですか?

いよいよ大室(→Here)のクチバシ赤だけ300へ。自分的に差替えを撮りたかった部分もあり撮影。ここでも撮影いただく。
突然Kさんがカメラを向けながら、
「何してるんですか?」
えっ、なんて答えればいいの?ということでしどろもどろの反応に。「信号を撮ってます」と言えばよかったらしいですが。アドリブで聞かれて自然にそういう答えが出る事をKさんは期待していたらしいです。

さらに七本桜(→Here)の3方向懸垂も撮影。普段は杉並木の中なので灯器が暗く写ってしまうが、日がわずかに射していて、非常に良い写真が撮れました。これまで苦心したプレートも撮り直し。非常にきれいに年式が撮れました。なんと平成9年式です。
改めてNikonCOOLPIX8800の性能に感心。



10TAKE分、信号を語る。

日も傾き始めて、信号の魅力を語るシーンを撮ることに。本当なら中禅寺湖の六角デザインをバックにと考えていたのですが…
「もう1回雀宮の信号を撮っているシーンを撮りたい」ということで、急遽このシーンは総合運動公園で撮る事に変更。
日光宇都宮道路・東北道・さつきロード経由で総合運動公園へ。

入り口に丸太のベンチのようなものがあり、そこに座って、後ろにある丸型/京三オマルをバックに撮影。ここは締めのシーンなので、私から、同じシーンを10回ほど撮ってもらってどれか一番良いものをオンエアで使ってくださいと提案。
しかし台詞は意外に長い。当然棒読みはNG。「筋書きで話す」訓練を受けたことがあるけど、これがいかに重要か身にしみて解った私でした。

駐車場に戻る途中、高校生の女の子から「すみません、何の番組ですか?」と聞かれ、NHKの番組インタビューである事をお話しすると、「すごいー」とびっくりしていた様子でした。その日、総合運動公園で栃木県の高校陸上大会が行なわれていたようです。
笑顔の爽やかな子でした(照)。

再び上御田町の田園地帯で。

昼に撮った台詞の部分だけもう一度撮り直し。ここで今日の撮影は完了。
締めに一発この信号をバックにカメラと記念撮影。おつかれさまでした。

でもまだ終わっていなかった。

自宅に帰り、撮った写真を現像・印刷・データをKさんにお渡しする。この作業で2時間くらいかかりまして。
その後駅東の宇都宮餃子館で餃子を一緒に食べ、お開きとなりました。

「えーーーーーーーーーーーー(爆笑3分間)」

その後、NHKの取材を受けたことにかんし、一定期間内密にしておくつもりだったのが…。
友人と信号の話が出たところで、全て白状しました。大抵の方の反応です。まさか信号趣味が全国版のテレビで放送されるなど、信じられなかったようです。
親にも話したところ、意外にクールにあっさり受け止められたのは意外でした。

いよいよ放送日。

オンエアは5月12日(木)にBSハイビジョンで22:00〜、5月15日(日)にBS2で20:00〜放送。
我が家にはBSなど繋いでないので、いつもお世話になっているY家族にお邪魔して見る事に。FMVを持ち込んでDVDに録画するくらいの気合の入れようです。このY家族、全員がツッコミキャラで成り立っていて、ドラマであろうが激しくツッコミ入れる。私、そんなツッコミを密かに楽しんでいたりします。
オンエア開始。今回のテーマは「3の魔力」。全国各地の三角点を撮り歩いている方のドキュメント。タウンエースをキャンピング仕様にして全国の三角点探査。山登りしたり、ラベルを筆で書くなど私よりも熱の入れ方が感じられます。改造三輪車レースは足の細やかさが面白い。こんなレースがあるものと感心させられたりしました。峰岸徹さんの宮古島トライアスロンのドキュメントは私の放送のことを忘れるくらい感動させられました。タイムリミットの4分前にゴールというのが涙を誘います。

キモイ信ちゃん!?

そのそばで「早く梶君出せよ!」と横で突っ込みを入れる次男坊。いよいよ中川アナの「今回は、誰もが毎日−街中だったら毎日目にするある“3”をとことん追求する熱中人です。」という紹介後、ついに来ちゃいました、「三つの目をみつめる男!!」のタイトルが。
うわ、アパートがでかでかと…うわーでた!テレビで自分の顔と氏名テロップが…。自分の声ってこんな声に聞こえるのか…。最近太ってシャツが微妙にきつくなってるよ…。上御田の背面が逆光ぎみだな…。「我々信号ファンのことを信ちゃんという言葉を使うんですけれど」の台詞に娘様の「キモイー」の突込みが。アナタ、私が信ちゃんとつけたわけじゃないんですけど。信号の魅力の部分、言葉詰まっているよ…。

まあすごい騒ぎの中で5分間のオンエアは過ぎていきました。

意外に視聴率が高かったんです。

翌々日、突然知り合いのUさんに「テレビ出てなかった?」と。実は知り合いの間でもオープンにしていなかったのです。
その週末、職場のS取締役が、「梶、お前テレビに出てただろう?」と。何でBS2のマイナー番組がこんなに見られているだろうか?と思っていたところ、この8:50から9:00からの時間帯、民放はCMやニュースの時間帯。何か番組やって無いかとチャンネルを回している時間帯なんですよね。3日後の昼休み後、職場でお披露目。「スゴイー」好反応でした。
友人の日本信号に勤めるシンゴ君のお宅でも録画していただき、F氏から「信ちゃんをシンちゃんちでさっき見てきました!」と洒落混じりメールを態々頂きまして。友人の間ではDVDを回覧し、「信号大好き 梶゙さん」がすっかり定着しました。「信号機のほかにもう一つ、はまっていることがあるんです、て言わなかったの?」と皮肉られることも。

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最後に。

今まで信号趣味を5年くらいやってきましたが、人が関心を抱かない分野の趣味だったので、正直後ろめたい思いをしながら信号を撮っておりました。しかし、NHKさんのこの放送をきっかけに、多くの方に理解していただけるようになり、今では前より自信をもって信号趣味に取り組めるようになりました。又、普通の人では滅多に体験できない、テレビ出演の経験・テレビ製作の裏側を見ることができ、人生のうちで貴重な一コマをすごせたと思います。

この場を借りて、NHK「熱中時間」の出演者・製作スタッフの皆様に対し、心より厚く御礼申し上げます。このようなヘボなページを取り上げていただいた上、謝礼まで頂き重ねて感謝申し上げます。

今後も「忙中」の健全な「趣味」として、のポジションを保ちつつ、より多くの信号を撮れる限り撮り続けていただきたいと思います。

おしまい。

P.S.私はNHKの料金をきちんと納期までに納めています。不祥事があったとかいって納めない方もいらっしゃるそうですが、それは役所で不祥事があったから税金を納めない、という論理を許すことだと思料いたします。