カンボジアの信号機0 はじめに・・・カンボジアの信号機について |
カンボジアの信号機について ・カンボジアの首都はプノンペン。人口250万規模、日本で言えば名古屋市より少し多いくらいの大都会です。日本と違い、鉄道網や路線バス等の公共交通機関は極めて乏しく、移動のほとんどを車やトゥクトゥク等に頼っている状態で、街中で夥しい量の車やトゥクトゥクが昼夜問わず行きかっています。そのプノンペンにはなんと近年まで信号機がほとんどありませんでした。そのため、この著しい量の交通量を交通整理できておらず、今よりももっと交通事故や渋滞が絶えない街だったようです。そこで信号機の新設・交換や交通管制センターの整備をJICAの協力の下進められ、制御関係は住友電工での整備、灯器についてはコイト電工のものが設置されています(かつては信号電材のものが先駆けて設置されておりましたが、現在は2箇所しか残存を確認できておりません。 ![]() 制御器の銘板(住友電工) かつてはミャンマー等複数のアジア諸国に日本製の信号灯器が設置されていた記録はあるものの、その大半が中国製などの諸外国の信号機にさらに更新されている近況がある中、カンボジアのプノンペンでは当初設置されていた中国製等の諸外国の信号機から日本製のコイト電工の灯器へ交換されたりと、コイト電工の灯器の楽園と化しています。 ・日本製の信号機はプノンペンの街の100以上の信号交差点に設置されており、信号電材の薄型LED1箇所、信号電材の輸出用灯器(電材樹脂に近い形のもの)が1箇所ある以外100以上の交差点はコイト電工の薄型LED(TC2世代)+コイト薄型LED歩灯(素子型)となっています。因みにコイト電工の薄型LEDは導入時期が2回に分かれていて、それぞれ2016年3月製と2018年3月製です。(因みにGoogleで検索すると電材薄型の面拡散タイプのような写真もあったので探しましたが、見つけられませんでした)。ほとんどが横型灯器での設置ですが、ほんの一部縦設置のものもあります。銘板は信号電材の薄型LEDは日本で設置されているものと全く同じ日本語の銘板ですが、コイト電工のものは車灯も歩灯も、英語表記の銘板となっており、銘板の上には日の丸とFrom the People of Japanと記載されています。銘板の表題は「Traffic Signal Lantern」と記載されており(信号灯器くらいの意ですかね)、車灯はVehicular Lantern、歩灯はPedestrian Lanternとなっていて、形式は車灯が1H3RYGTE(赤黄青配列だからRYGなんですね、新鮮)、歩灯がPVTKE、矢印が1灯ならA1LTE、3灯ならA3LTEとなっています。メーカーの欄はKOITO ELECTRIC INDUSTRIES,LTD.MADE IN JAPANと記載されています。 日本と違う現地の信号機のルール まず大きく違うのは日本が左側通行であるのに対し、カンボジアは右側通行となっていることです。これにより、横型灯器は赤が左、青が右と日本とは逆になっています。日本での右折がカンボジアでは左折に該当するので左矢印が大量にあります。矢印灯器がない交差点もありますが、ほとんどは3灯式の矢印と横並びで3灯とセットで設置されており、矢印は日本のような青矢印のみではなく、赤矢印・黄矢印・右矢印の3灯式となっています。まだ交通量の多い大きな交差点でしか信号機は導入されていないので、自ずと矢印と一緒に設置した整備となっているようです。黄矢印は日本では路面電車用の意味合いですが、カンボジアでは矢印の方向の黄という意味になっています。赤矢印に至ってはこれ自体日本では見られないものですね。矢印灯器のほとんどは左矢印ですが、交差点の形状によっては右矢印の3灯式もあります(主に丁字路で使用)。 一番多いタイプは上のような3灯と左矢印の3灯式が横並びになっているものです。サイクルは何パターンかありますが、一番メジャーなのは、日本で言う時差式信号機のような形です。ただ違うのは十字路交差点で導入しているため、両方向に時差式延長の時間があることです。 詳しく言うと、まず例えば南向きの信号機が青+青の左矢印が点灯→青+黄の左矢印→青+赤の左矢印(ここまで北向きは赤+赤左矢印なので自由に左折ができる)、南方向が青+赤の左矢印になった段階で、北向きが青+赤の左矢印に変わる→南向きが先に→黄+赤矢印→赤+赤矢印となったら、今度は北向きが青+青の左矢印→黄+黄の左矢印→赤+赤の左矢印と変わると言ったような形で両方向3灯が青の時間の前後に時差式延長があるようなサイクルとなっています。 ![]() 赤+赤左矢印現示 なんと夜間閃光がカンボジアのプノンペンにもあります。日本と同じように歩灯は消灯、主道側が黄点滅・従道側が赤点滅です。規模の小さな交差点でのみ行っているようです。 その様子はこちら(youtube動画) 旅行のエピソードetc. 今回のカンボジアのプノンペン遠征は私、丹羽拳士朗(28歳)にとってはなんと初海外でした。普通の観光に全く興味のない私は、日本製の信号機が設置されているカンボジアのプノンペンにしか興味はなかったのですが(先述のとおり、アジアにある他の日本製の信号機が一掃され始めており、カンボジアを除くとウガンダなどさらにハードルは上がる)、なかなか初海外で1人でカンボジアに行く勇気が踏み出せずにいました。2024年に綺麗に撮影されたプノンペンにある日本製の信号機が旧twitter(現X)で流れてきたのをきっかけに自分もなんとか撮影したいという機運が高まり、今回の遠征を決行するに至りました。なおカンボジアと言えばアンコールワットですが、アンコールワットはプノンペンから300km以上離れているので、訪れておりません。なんなら今回観光らしい観光はほぼしていないですね。初海外で信号機を撮影しにカンボジアに行った人はおそらくは前代未聞なのでは・・・。また胃腸が体質的に弱く、食べ物の好き嫌いが激しいのもあって、カンボジアに行って現地の丸亀製麺×3と宿泊した日系のホテルの和食を食べて過ごしました(自宅の2km圏内にある丸亀製麺を5000km離れたプノンペンで食べるやばい奴)。日系のホテルの和食はなぜか滅茶苦茶美味しかったです。丸亀製麺の他、イオンモールやマックスバリュなどがあり、またイオンモールの中にテナントで牛角や塚田農場、メガネのプリンス等意外に日本の店があります。 飛行機は北京首都空港経由。ほんの少し前まで直行便があったそうですが、現在は直行便はなく、中国か韓国かマレーシア経由になるようです。一番安い中国経由を選択しました。飛行機は以下のとおりです。 2025/2/7(金)羽田空港(8:30)→北京首都空港(11:35)(18:55)→プノンペン空港(23:10) 2025/2/11(火)プノンペン(0:25)→北京首都空港(6:00)(8:45)→羽田空港(12:50) 時差は2時間なので行きは16時間40分(北京首都空港乗継7時間20分含む)、帰りは10時間25分(北京首都空港乗継2時間45分含む)です。北京の7時間20分の乗り継ぎの時間が何気地獄でしたね。空港が寒いし、することがない。北京の外気温が最低気温-10度に対し、プノンペンは最高気温34度。東京は10度前後。函館は-3度くらいだけど猛吹雪。体がぶっ壊れそうな温度差です。初の海外、かつては内戦があった国ということもあり、少し警戒してカンボジア入りしましたが、思ったより平和で治安は全く問題なさそうな街でした。17時間近くかけてようやく到達できたプノンペンで一番最初に日本製の信号機が活躍している姿を目にしたときは感動して胸が熱くありました。最近では一番の感動でしたね。ただ交通マナーは結構絶望的で折角設置された信号機も半分くらいは守られておらず、目安程度で利用されているといったところ。また店が車道まで張り出しており、歩道はないに等しいので歩くことはままならず、近距離でもトゥクトゥクでの移動に頼らざるを得ません。というよりか、歩道があっても車が普通に乗り上げてショートカットしてくるので、歩道をちゃんと整備したところでバイクやトゥクトゥクの通り道になるだけなのかもしれません。東南アジアの中ではクラクションが少なく静かとのことですが、それでもどの交差点でもクラクション鳴りまくり、深夜になっても交通量が相当あり、常に街は喧騒感があります。また建物や家などが未だあちこちで建設中で至るところにコンクリート殻のようなものがたくさん落ちているので注意しなければなりません。道路もあちこちで建設中です。タクシーやトゥクトゥクは相当格安でアプリで呼び(平均2分くらいで来る)、お金もアプリで支払っておくことができるので、その点は日本より圧倒的に便利かもしれません。あと砂埃が凄いので長い間外で信号機撮影をしていると目が痛くなります。午後になると涙を流しながら撮影していました。きっと日本製の信号機がカンボジアで活躍している姿を肉眼で見て感動の涙が出たのでしょう(大嘘)。 |