音響式歩行者誘導付加装置(以下、「装置@」と書く)は、信号が青になった直後にのみその旨の音声案内をする装置である。視覚障害者用付加装置(以下、「装置A」と書く)のように、青信号の間ずっと音を鳴らさない。
この装置@は毎日信号でも何度か紹介したが、設置方法を誤ると装置本来の役割を果たせなくなってしまう。
上に紹介した写真は盛岡市内で主道側・従道側の両方に装置@が設置されていることを確認している唯一の交差点である。主道側は男性の声色による音声案内、従道側は女性の声色による音声案内となっている。
岩手県ではこの装置@を大抵は従道側にのみ女性の音声で用いられ、主道側には用いられない場合がほとんどであることから、この交差点は珍しい例だといえる。
だが、写真のスピーカーの設置方法と主道側・従道側の横断歩道の位置を見ればわかると思うが、これだと音声案内を聞いただけではどちらの路線が青信号になったのかがわからない。
本来、装置@は視覚障害者が安全に交差点を横断できるようにするためのものである。この交差点のように、歩行者用信号機を見なければどちらの路線が青信号なのか判断できないのであれば、装置@が設置されている意味がない。
そこで、上図のような設置方法を提案したい。まず、歩行者用信号機を設置する信号柱は交差点の角に当たる箇所に設置する。
次に黄色矢印で示したように、歩行者用信号機は信号柱からそれぞれの横断歩道の開始地点の向きに設置する。
そして緑色矢印で示したように、装置@のスピーカーは信号柱から歩行者用信号機の向きにやや傾けるように斜め下向きに設置する。こうすることで、それぞれの音声案内が逆方向に鳴る形となり、聞き間違いの防止につながると考えられる。
さらに赤矢印で示したように、歩行者用信号機2基の間はなるべく遠ざけて設置する。
以上のようにすれば、百パーセント完璧とはいえないだろうが、横断待ちをしている歩行者に正しい音声案内を伝えられ、装置@の本来の役割を果たせるのではないだろうか。
繰り返し述べるが、青信号になった路線を音声案内のみで伝えられないようでは装置@を設置した意味がない。
もしかしたら、岩手県におけるほとんどの交差点で従道側の路線でしか装置@を用いない理由は、全路線に用いると聞き間違いにより装置@を設置した意味がなくなる可能性があることを承知しているからかもしれない。
しかし、だからといって部分的にしか設置しないという姿勢はあまりに消極的ではないか。それよりは装置@の設置法を少し工夫して、全ての路線でそれが役割を発揮できるようにしたほうがいいのではないだろうか。
従って、既に装置@が設置されている交差点の内、設置に問題がある箇所は、装置本来の役割が発揮できる形へと改善されることを願いたい。改善が難しいのであれば、装置Aに変更するべきである。 |