今日、日本信号(株)と(株)京三製作所の二社で共通の形をした新しい薄型LED歩行者用信号機が各地で見られるようになってきている。この歩灯だが、意外にも灯体の材質が鉄であった。錆びない材質としてここ数年多く用いられているアルミ製ではなく、再び鉄板製の信号機が用いられるようになってきたことになる。
先日、この歩灯が鉄板製であるという情報を耳にしたため、日信製の新薄型歩灯が設置された滝沢村の交差点一つと雫石町の交差点一つの、計二箇所の交差点を調査してみた。方法としては、マグネット・ピックアップ・ツール(先端が磁気を帯びた棒)を使って、灯体が磁気を帯びているか否かを調査し、鉄板製かアルミ製なのかを特定した。
すると、これらの交差点の歩灯全てが、掲載写真の赤丸印で示したように棒がくっつき、磁気を帯びていることが判明した。即ち、歩灯の灯体が鉄板製であることに間違いないようだった。この二社で用いられている鉄板製の歩灯という点からは、弁当箱型の歩灯を思い起こさせる。
ここで、今までの灯体の材質の大まかな移り変わりを確認すると、始めは鉄板製灯器が主流となり、次に樹脂製灯器が登場し、そしてアルミ製灯器が登場――という流れできている。鉄板製灯器の場合、設置後しばらくすると錆が生じ劣化が起こるという問題点があるため、ここ数年はそのような劣化が生じないアルミ製灯器が各地で多く用いられてきた。このことを踏まえると、再び鉄板製灯器が登場したという事実は、ある意味で時代の流れと逆行しているということができる。
恐らく、この新しい鉄板製灯器は錆の劣化が生じにくい加工が施されているものと推測される。鉄のほうがアルミに比べると低価格であろうと思うから、灯体の材質に鉄を用いることによって費用を抑えることができるのであろう。
しかし、本当に耐久性に問題がないのかどうかが気になる。たとえ数年の間は良くても、十年という長い年月が経っても劣化が生じず長持ちできるのだろうか。
従って、個人的にはアルミ製のほうが劣化も少ない分安心のように思われる。念のため、しばらくの間は今までのアルミ製灯器も同時に生産を行ったほうが良いのではないだろうか。
少なくとも、耐久性が十分かどうかの検証は今後とも行っていったほうが良いように感じられる。 |