気づいたのは今年始めだった。以前は電球式の信号機が設置されていた、岩手県盛岡市の南大通の交差点がLED信号機になっていた。よく見ると、庇がほとんど無いに等しく、灯体がとても薄かった。いわゆる薄型LED信号機である。
その名の通り、薄型灯器というのは通常型に比べて灯体の厚みが大きく異なる。電球式と違ってLEDは灯体内部の体積はそれほど大きい必要はなく、厚みを節約できる。その結果、通常型に比べて灯器上部に雪が積もる割合を少なくすることができるのだ。実際、この薄型灯器は北海道を始め、日本海側での普及率が高い。岩手県盛岡市においても去年中頃から徐々に設置され始めた。
南大通の他、盛岡駅前通りなどにも設置された。製造会社は日本信号を始め、小糸工業、星和電機のもあった。日本信号製に関しては盛岡市内で最初の確認だったこともあるし、薄型灯器が登場して数年経つが、私としてはまだまだ高級感あふれる信号機であるため、驚きは大きかった。
さらに驚くことに、南大通においては、盛岡バスセンターから明治橋にかけて全ての交差点の電球式信号機が更新された。更新された電球式信号機は樹脂製灯器も多いが、中には信号電材製のアルミ製のような新しい信号機もあった。改めて岩手県の信号機更新に驚くばかりである。
これにより、歩車ともに視認性はかなり高まったといえるだろう。特に歩行者用信号機に関しては、更新前の樹脂製灯器ではちょっとでも強い日が当たればレンズが白っぽくなり、どの色が点灯しているのか分かりづらいことも多かった。しかし、その点LEDは問題ない。どんなに強い日の光が当たろうとも、光自体が色を持っているLEDは点灯している色がはっきり見えるのだ。
しかし、更新された信号機の中には、先に述べたように信号電材製のアルミ製を始め、まだまだ新型といえるものもあった。更新されてしまうには随分ともったいないと思わずにはいられない。もちろん、別の場所で間違いなく移設は行われると思うのだが。
視認性はいまいちとしても樹脂製灯器は個人的に気に入りだったので、更新された点は残念に思うが、南大通の歩行者は年配の方も多く、以前の信号機では不憫に感じておられた方も多いと推測される。だから、今回の更新による信号機の見易さ向上はいい効果が期待できるのは間違いないだろう。そして、どんなに新型の見やすい電球式信号機でも、LEDに勝る見易さは実現できないだろうから、今まで新型の電球式で見やすかった交差点においても、視認性は向上しているといえるだろう。今後、新しく登場したスマート信号機に期待したい。 |