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先日、暇を見つけて岩手県の県南の市町村、一ノ関市を回ってみた。岩手県内では規模が大きい市町村で、市街地の町並みは綺麗で明るい感じが漂う。歩道がきちんと完備されているところが多く、点字ブロックもきちんと配置されている箇所が多いように思え、県内市町村の中では歩行者に優しい市町村だと感じている。
その一ノ関市の信号機だが、県内の他の市町村に比べて音響式歩行者誘導付加装置の設置割合の多さが目を引く。音響式歩行者誘導付加装置というのは、歩行者用信号機が青になった時のみ 「(ピンポン、)信号が青になりました。」 というような音声案内をしてくれるものである。メロディーや誘導音を青信号の間鳴らし続ける視覚障害者用交通信号付加装置と違って、青になった時のみ音が鳴るのが特徴である。女性声および男性声があるのだが、全国的には女性声のほうが使われる割合が多いように思える。
この装置は全国的に見て、人通りが多いが規模が小さいというように視覚障害者用交通信号付加装置を付けるほどではないが音響信号をつけたほうが良さそうな交差点に設置される場合が多いように思う。岩手県においてもそのような傾向が見られるのだが、盛岡市のある1交差点を除いて、従道側にのみ女性声で付いている場合がほとんどである。その点は一ノ関市も例外ではなかった。そして、一部「ピンポン」というブザー音が無いものまであった。
ちょっとした装置だが、視覚障害者の方々に限らず歩行者全般に青信号を音声で知らせてもらえるのは便利である。それに、視覚障害者用交通信号付加装置と比べて、信号が青になった時のみ音を出すので周りへの騒音の被害は少ない。その結果、住宅の付近など騒音が危惧される場所でも設置が容易である。また、夜間など音量を高くしづらい環境であっても、ある程度の音量を保って使用できる点も優れているといえる。
しかしその一方、青になった時にしか知らせてくれないというのは不親切ともいえよう。青信号の間や青点滅の間音で知らせ続けてくれる視覚障害者用交通信号付加装置のほうが横断者にとってはありがたいのは容易に想像がつく。また、この装置は歩行者用信号機とスピーカーが一体となっているため、視覚障害者用交通信号付加装置のようにスピーカー位置を調整して設置するのが難しい。そのため、横断歩道の開始地点のすぐ近くに歩行者用信号機が設置されていることが必要不可欠なのである。また、主道側と従道側共に音声案内が鳴るような場合は、主道側の歩行者用信号機と従道側の歩行者用信号機をある程度遠ざけておかないと、音を混同してしまう危険性が高い。
さらに岩手県の設置について言うと、先に述べたように音響式歩行者誘導付加装置は従道側にしか設置されていない場合がほとんどなのだが、やはり主道側でも音が鳴らないと横断者が不安心である。また、「ピンポン」というブザー音が無いと信号が青になったことがわかりにくいので、ブザー音もきちんと付けるべきである。
以上より、音響式歩行者誘導付加装置は視覚障害者用交通信号付加装置と比べて対照的な長所および短所をもっているが、音響信号をつけたほうが良さそうな規模の小さめの交差点に設置されるという方針は良いと思う。むしろ、少しでもそのように感じる交差点であったならば積極的に設置を検討していったほうが良い。ただし、設置の際は歩行者用信号機をきちんと横断歩道の始まりの部分に近いところに設置し、主道側と従道側の歩行者用信号機を出来る限り遠い距離を保って設置するのを忘れてはならない。そして従道側だけというように一部分だけ設置するのではなく主道側と従道側の両方にきちんと設置し、ブザー音も鳴らすようにしたほうがいい。
岩手県内を始め全国の都道府県で、視覚障害者用交通信号付加装置と共にこの装置も上手に用いられることによって、歩行者が安全に横断できる環境を整えていってもらいたい。 |