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8月末、青森県三沢市を久しぶりに訪れた。このまちは平成19年に一度、信号探索で訪れたことがあり、その後どうなっているものかと気になりながらの訪問だった。
まちに入ってまず通りかかった投稿画像の交差点で早速驚かされた。この交差点は平成19年に訪れた際、視覚障害者用付加装置の音は異種鳴き交わしの誘導音であった。ところが、今回訪れてみると信号現示方式は通常式から歩車分離式に変更されており、投稿した音ファイルのように「乙女の祈り」に変更されていたのだった。昨今の視覚障害者用付加装置の流れにしては珍しく、誘導音式からメロディー式に変更されたことになる。
多くの都道府県と同様に、青森県においても通常式の交差点ではメロディー式から誘導音式への切り替えが徐々に進行している。ただし、既に当ページで紹介しているが、青森県ではスクランブル方式の音として、クラシック音楽の「乙女の祈り」が用いられている。十和田湖畔に建つ像として有名な「乙女の像」(参考→http://www.towada-kankou.jp/sightseeing/otomenozou.htm)に因んで、スクランブル方式の音としてこの曲を流しているものと思われる。これから先も、スクランブル方式の交差点においてはこの曲を用いていってほしいものである。
ところで、最近はスクランブル方式の交差点においても、視覚障害者用付加装置の音として誘導音を用いているところが多くなってきた。警察庁のほうでは、スクランブル方式での音は異種鳴き交わしの専用の鳴り方にするよう通達が出されている(http://www.npa.go.jp/pdc/notification/koutuu/kisei/kisei20031022.pdf)。よって、全国的にこの鳴り方を設定する都道府県が多くなってきているようである。
もちろん、アンケートなどの厳密な調査や研究を行った上で、上記通達のように異種鳴き交わしの方式を推奨しているものと思われる。しかし、私個人としては、スクランブル方式の交差点で誘導音を用いるというのはあまり良い方法ではないと感じている。
誘導音式はメロディー式に比べて、騒音が少なく鳴る方向を把握しやすいといった利点があるようだ。しかし一方で、メロディー式に比べて無音時間が長く、視覚障害者の方々に不安を感じさせる割合が大きいという欠点がある。中でも、スクランブル方式の異種鳴き交わしは無音時間が結構長い。よって、その分無音時間による不安を感じさせる割合は高いものと考えられる。
従って、スクランブル方式においては無音時間の不安を感じさせる割合の少ないメロディー式を用いるべきと考えている。そのため、青森県などのようにスクランブル方式の交差点においてメロディー式を用いている都道府県は、ぜひともそのやり方を続けていってもらいたいと強く感じるのである。
それに、青森県の「乙女の祈り」や静岡県の「富士の山」は、視覚障害者用付加装置としてはもちろんだが、その他観光振興という面でも役に立っているように思う。地元の観光地に因んだ曲をスクランブル方式の交差点で流すことにより、多くの人を楽しませ、それにより多少なりとも観光アピールにつなげられているに違いない。
よって、スクランブル方式の交差点では観光振興のため、都道府県毎にその地にあった独自の曲を流すぐらいでむしろ良いのではないかと思っている。信号機の音楽では観光振興というほど大きなことは成し得ないのかもしれないが、ささやかなことが意外な効果を生む場合だってあるのだ。
今回の記事では色々と私見を述べてしまったが、名物とも言えるメロディーは今後とも姿を消すことなく残り続けてほしい。最終的にはこの思いに尽きる。 |